錆びたつらら

凍って錆びて、折れるまで

麦茶当番

毎日満員電車に乗らなくていいという免罪符を与えられた代わりに、私には一つ労働が与えられた。
その名も「麦茶当番」
 
リビングの麦茶を切らさないように、タイミングを見て作り替えていくという作業である。
一見誰にでもできる簡単な仕事である。
実際簡単なのだが、私はこれを完ぺきにこなそうと考えた。
 
家族が全員滞在している時は、すごい勢いで麦茶が減っていく。
空になったボトルを洗浄し、お湯を沸かし、麦茶パックを入れる。
麦茶を飲む。洗う。お湯を沸かす。パックを入れる。
 
気になったらリビングへと降りていき、麦茶の様子を確認する。
理想は2本満タンになっている状態を保つことだ。
 
どうってことない仕事なのだが、これが私に一種の安らぎや達成感を与えてくれた。
麦茶を作るというルーティンが、ささやかな達成感に繋がる。
なにより麦茶は美味しい。
 
病気で寝込んでい時に、少し起き上がることができるようになったら、
社会進出の練習として、「麦茶当番」に立候補してみるのもいいかもしれない。